日進月餅

暇に任せて、一日中画面に向かって、思い浮かぶ瑣末なことをつらつらと書き連ねていると、妙にばかばかしくなってくるものだ。

守安重工よ、永遠なれ

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とうとうこの日が来てしまいました。


守安 玲緒
もりやす れお

社会人野球ファンで、その名を知らない人はいません。
三菱重工West(神戸・高砂)の先発マウンドには必ずと言っていいほど現れ、延長戦、タイブレークをものともしない鉄腕。
その獅子奮迅の活躍から、いつしか「守安重工」と呼ばれるようになりました。
チームはもちろん、社会人野球を代表する右腕です。

その守安を守安たらしめた試合といえば、やはりこの試合でしょう。
三菱重工神戸・高砂など2回戦進出/日本選手権詳細 - アマ野球 : 日刊スポーツ
延長16回、12回からはタイブレークで当時は一死満塁からのスタートとなったものの、そこを無失点で切り抜け続け、最後は味方が勝ち越し点を奪い、勝利しました。
この試合、誰にもマウンドを譲ることなく一人で投げ続けたその姿は正に伝説で、今でも延長戦やタイブレークの展開になると引き合いに出されます。


入社当初は剛速球で鳴らしたものの痛打されることが多く、フォーム改造の結果、力感のないフォームから伸びのある投球を身につけ、後の活躍に繋げました。
しかし、それによりプロのスカウトからは「球速が落ちた」と低評価を下され、プロへの道は閉ざされました。
その後はチームを代表する投手になり、「会社のために投げるのが生きがい」と繰り返し語るミスター社会人野球の名に相応しい存在にもなりました。

2018年は都市対抗野球で決勝に進出。同じ近畿勢の大阪ガスに敗れ黒獅子旗こそ逃しましたが、敢闘賞にあたる久慈賞を受賞しました。その後もチームは何度も都市対抗出場を果たしましたが、優勝に手が届くことはなく、最高殊勲選手賞である橋戸賞の受賞はなりませんでした。

2019年からは兼任コーチとなり、主戦投手として活躍しながら後進の育成にも力を注ぎました。何人もの主戦投手を育成し、そこからプロ入り選手を2人も輩出するなど、育成面でも手腕を発揮しました。

2022年からは背番号18こそルーキーの竹田祐投手に譲りましたが、再び選手一本に戻り、以前の活躍が期待されました。
しかしながら本戦での出場はなく、今回の日本選手権でもベンチ入りはありませんでした。

そしてやってきた引退の時。
自分が社会人野球を本格的に見るようになったのはその都市対抗準優勝の時以降なので、もっと早くから見ておくべきだったと後悔の念に堪えません。
ファンとしてはもっとやれると思っていましたが、本人の中では限界が見えていたのでしょう。
「守安投手が投げ勝つ」という試合を見られなかったのは悔いが残ります。
しかし、守安投手が残した伝説はこれからも社会人野球ファンの間で語り継がれていきます。
その伝説が生き続ける限り、守安の存在はなくなりません。

自身が果たせなかった「優勝」の夢は、守安イズムを受け継いだ後輩が果たしてくれるはずです。

貴方は正に、生きる伝説です。

「守安玲緒」の名は、社会人野球に永遠に刻まれます。


守安重工よ、永遠なれ!